2005.11.15
担当:tr
こんなグラフをこのごろ見かけませんか。
*熟年:同居年数25年以上 (出所:厚生労働省『人口動態統計』)
このグラフが言いたいことは、『熟年離婚が増加している』ということ
ではなくて、『増加し続けていた熟年離婚が、最近減少に転じている、
その原因は、07年04月の《厚生年金分割》制度施行まで妻が待っている』
ということだそうです。
ミもフタもない解釈ですが、マスコミが飛びつきそうな話ではあります。
不信・不安... こういういい加減な情報が独り歩きするのもいかが
なものか、と思いますので、中高年齢、特に夫の定年を契機とする離婚
について少し考えてみることにしました。
1.マクロ・ビュー
1-1 統計から
まず統計には統計で。
07年04月に施行される厚生年金分割制度とは、厚生年金の報酬比例部
分のうち婚姻期間中に該当する支給額の最大1/2を、離婚した専業主
婦だった妻が受給できるというものです。
確かに、人生いろいろですから、『すぐにでも離婚したいが07年04月
まで待とう』という方がなかにはいるかもしれませんが、それが統計
にも現れているといえるのかどうかを、まず考察しましょう。
この仮説のもとになっている統計をもう少し同居年数別に分けて見て
みますと、実は次のようになります。
見てお分かりのように、減少しているのは『同居期間25-30年』の層
だけで、それより同居期間が短い層でも長い層でも、若干鈍化はして
いますが、トレンド上有意というほどではありません。
このことは、年金分割制度以外にも要因があることを示唆しています。
統計のもう一つ、母集団としての婚姻件数を見てみましょう。
わが国の婚姻件数は1972年に1,099,984件でピークを迎えた後、かな
り急激に減少しています。このピークを形成している夫婦が図-2の
『同居期間25-30年』層と符合するという見方が可能です(5年の幅
で誤差はありますが)。
教訓:『年金分割制度発足まで離婚を先送りしている妻がいる』とい
う淋しい仮説は、取りあえず07年以降の統計が出るまで保留し
ましょう。
とは言うものの、中高年齢になってからの離婚が急増しているという
現実までは否定できそうもありません。
ふたたび図-2を参照いただくとそれがよくわかると思いますが、特に
『同居期間30年以上』のベテラン夫婦の離婚増加がすさまじいと言え
ます。
表-1 ベテラン夫婦の離婚状況
| 同居年数 |
1975年 |
2004年 |
04÷75 |
| 30-35年 |
566 |
6,758 |
11.9倍 |
| 35年以上 |
300 |
4,710 |
15.7倍 |
いずれも約12倍、16倍という増加になりました。
また、これを夫の定年とリンクしてみると、
同居期間25〜30年:そろそろ定年
同居期間30〜35年:まさに定年
同居期間35年以上:定年後
ということで、定年がなにがしかの節目になっているのではないか、
と疑いたくなります。
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