特集:選挙を考える

2005.10.21
担当:tr

2005年09月11日の総選挙(衆議院議員選挙のことを総選挙と呼びます。
これに対して参議院議員選挙は通常選挙です)は、自由民主党の圧勝で
幕を閉じました。
『これが小選挙区制の醍醐味だ』と言った解説者がいました。この人が
どういう神経で『醍醐味』などということばを使ったのか、よく理解で
きませんが、自民党に一票を投じた人も含めて、こういう結果を望んで
いたわけではない人は多いと思います。
事実、たくさんの『死票』が出ました。実際の当選議席数と各党への票
数(選挙区+比例)比例であったらどうか、という仮定の議席数を比べ
てみると次のようになります。

(無所属を除く462議席)







つまり、公明党を加えた与党としても、238議席で、過半数は微妙なラ
インということになります。それが実際は2/3を越える圧勝。
この選挙制度、やはりどこかが変です。

そこでこの特集では、次の2つの疑問を念頭に置いて、諸外国の選挙制
度を比較してみることにしました。

疑問1:二大政党制の方向に向かうのがよいことなのか
疑問2:小選挙区対比例が300議席対180議席と割り振られる根拠はなにか、
    それで二大政党制になるのか(今回の結果は一党圧勝でした)

1.欧米の選挙制度概観
  欧米のことはどうでもいいじゃないか、というご意見もあろうかと
  思いますが、もともと代議士による民主主義は欧米からの輸入品で
  す。本家がどのような理念で制度化しているかを理解せずにはこの
  議論は成り立ちません。
  ざっと比較すると次のようになります。

  《単純小選挙区制》 イギリス、アメリカ
  選挙区から1名の当選者を選出する

  《小選挙区二回投票制》 フランス
  選挙区から1名の当選者を選出するが、一回目の選挙で絶対多数を
  獲得した候補者がいない場合は改めて決選投票を行う

  《小選挙区比例代表並立制》 日本、イタリア、ロシア
  小選挙区制と比例代表制の2つの選挙をそれぞれ別々の選挙として
  行う

  《小選挙区比例代表併用制》 ドイツ
  小選挙区選挙と比例代表選挙の2票を投じるが、各政党への議席の
  配分は比例代表選挙の得票を基準に算出する

  このうち、日本が採用している小選挙区比例代表並立制は、3ヶ国
  のほかブルガリア、グルジアでも採用されたことがあるそうですが、
  ブルガリアは1回で廃止、グルジアも廃止、イタリア・ロシアも廃
  止が決定的だそうです。
  また、フランスの小選挙区二回投票制は、一回目の投票ののち、政
  党間で話し合いが行われることを期待している制度だそうで、フラ
  ンスの独特の政治風土に由来していると思われます。

  ということで、以降は単純小選挙区制(イギリス、アメリカ)、小
  選挙区比例代表併用性(ドイツ)の2つの制度をもう少しくわしく
  見てみましょう。
  この際、単純小選挙区制については、階級社会を色濃く残すイギリ
  スではなく、アメリカを例に取りたいと思います。

2.アメリカの単純小選挙区制

  アメリカの下院選挙(435議席)は単純小選挙区制で行われます。
  ご承知のようにアメリカは民主党・共和党という二大政党が拮抗し
  た力をもっており、両党はこの制度のもとで勝ったり負けたりを繰
  り返しています。
  当然のことながら、この制度では死票がたくさん出ることになりま
  す。それを許容できるのは白黒をはっきりつけたがるアメリカの国
  民性によるところが大きいと思われますが、これ以外にも二大政党
  制という政治体制ではいくつか重要な補足が必要です。
  ○アメリカは
大統領制の国で、大統領は議会とは別に選挙で選出さ
   れます。したがって議会の勢力からある程度独立して国政をおこ
   なうことができます。
  ○二大政党は各議員を
党議拘束で縛るということはありません。ゆ
   えに、ある議員が党の方針にそむいても選挙区住民の利益のため
   の投票行動をするということが頻繁におこります。
   二大政党ではありますが、各議員は、政党と地域代表という両面
   を持っていると言えるでしょう。
  ○10年に一度の国勢調査を元に、下院の議員定数再配分・選挙区画
   再編成が行われます。地域代表という側面がさらに強化されてい
   ると言えます。

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自民 公明 民主 共産 社民 国民 日本 大地
選挙結果 296 31 113 9 7 5 0 1 462
単純比例 203 35 159 34 17 6 6 2 462