さて、税・社会保障費には、所得の再分配効果というものがあります。前述のいろいろなジニ係数の図でも、税引前と税引後の2つをご紹介しました。実はこの再分配効果をどのくらいにするか、効果を大きくする方向か縮小する方向か、というのは政治の基本方針にかかわる問題です。貧富の差を社会としてどこまで許容するか、ということなのですから。
具体的に再分配の道具になるのはなにかを簡単に説明しておきますと、国民から見て、支払い側が税金と社会保険料(年金・健康保険)、受け取る側が、年金・医療・社会福祉給付金などです。
そこで我が国のこのごろの流れはどうかというと、とても分り易い。逆進性のある消費税の税率アップ(まだ実現していませんが)を標榜し、社会保険料は値上げで給付は減額、医療費の自己負担比率はアップですから、再分配機能は縮小方向のはずです。平成17年版の所得再分配調査報告がまだ公表されていない理由はこんなところにもあるのかもしれません(全くの憶測ですが)。
では、国際比較はどうでしょうか。再分配効果が大きくなくても、もともと差がなければ問題ないわけですから、ここは国際的に比較して見なければ自国の情況評価はできないでしょう。そこで、OECDの調査をご紹介します。
Income Distribution and Poverty in 13 OECD countries
Howard Oxley, Jean-Marc Burniaux, Thai-Thanh Dang and marco Mira d'Ercole
OECD Economic Studies No. 29, 1997/II, 94頁 Table A1
改善後のジニ係数(B)が小さい順(改善率は筆者が計算)